伊東→下田40キロ漂流

 伊東市新井の汐吹公園北側の海岸でシュノーケリング中に行方不明となり、約40キロ離れた下田市白浜の砂浜で約20時間後に救助された神戸市の会社員の男性(29)について、下田海上保安部は28日午後、男性が「あおむけでずっと浮き、救助が来るのを待っていた」と語ったことを明らかにした。

 
 同保安部によると、男性は友人4人と汐吹公園の海岸から約800メートル沖にある手石島に向けて泳いでいる途中に足がつり、流された。漂流中は浮くことだけを考え、あおむけになって手足を大の字に広げていた。水中マスクで視界が狭くて空以外は見えず、捜索するヘリコプターの音は聞こえなかった。
 
 男性は低体温症の疑いで病院に搬送されたが、29日にも退院できる見通し。
 
 同保安部の聞き取りに「1人では何もできないと分かっていたがここで死ぬわけにはいかないと思い、体力を使わないよう心掛けた」と話したという。
 
 同保安部警備救難課の今城英夫専門官は助かった理由について、「体力温存のためあおむけに浮き、手足を大の字に広げていた点が一番大きい」と説明した。男性は長袖のレディース水着「ラッシュガード」を着用して浮いていたというが、「たまたま昨日は水温が高かった。30年間海上保安官をやってきたが、初のケース」と驚いた。